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    コモドドラゴンは何を食べる?野生での餌と1回に食べる量

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    主食はシカやイノシシ

    世界最大のトカゲであるコモドドラゴンは完全な肉食性で、成体になるとシカ、イノシシ、水牛などの哺乳類を主な餌としています。なかでも重要なのがティモールジカです。コモド島やリンチャ島を歩いていると野生のシカを見かけることがありますが、このシカはコモドドラゴンにとって主要な獲物であり、両者は同じ島の生態系のなかで深く関わりながら生きています。大型のコモドドラゴンになるとイノシシやヤギも捕食し、ときには自分よりはるかに大きな水牛を襲うこともあります。何でも追いかけて捕まえるわけではなく、獲物が通る場所で待ち、射程に来たところで一気に襲いかかるのが代表的な狩りの方法です。

    ただし、コモドドラゴンは生きた動物だけを食べているわけではありません。死んだシカやイノシシなどの腐肉も重要な食料で、むしろ見つければ積極的に食べます。二股に分かれた舌で空気中の匂いの粒子を集め、口の中にあるヤコブソン器官で方向を判断するため、離れた場所にある死骸にも気づきます。大型の肉食哺乳類のように毎回狩りを成功させる必要がなく、自分で獲物を倒すこともあれば、すでに死んでいる動物も利用する。この柔軟な食性が、雨の少ないコモド諸島で巨大な体を維持できる理由のひとつだといえます。


    1回にどれくらい食べる?

    コモドドラゴンの食事で最も驚かされるのが、一度に食べられる量です。成体は1回の食事で自分の体重の最大約80%に相当する量を食べられるとされています。野生の成体は70kg前後になることがありますから、単純計算なら最大56kgほどを体内に収められることになります。ただし、これは毎回それだけ食べるという話ではなく、身体構造上可能とされる最大級の量です。獲物の大きさやほかの個体との競争によって食べる量は変わりますが、数日分ではなく、長期間を支えるほどの食料を一度に摂取する動物だと考えると分かりやすいでしょう。

    なぜこれほど大量に食べられるのかというと、下顎や頭骨の関節に柔軟性があり、首と喉の筋肉も強いためです。肉を人間のように細かく噛んで食べるのではなく、鋸歯状の歯で大きく切り取り、そのまま飲み込んでいきます。胃も大きく膨らむので、食事を終えたコモドドラゴンは腹部が大きく膨らんで見えることがあります。さらに、肉や内臓だけでなく骨、皮、ひづめなども食べ、獲物のうち残す部分は約12%程度とされるほど利用効率の高い捕食者です。消化できなかった毛や歯などは後から塊として吐き出します。毎日のように餌を必要とする動物ではなく、一度に大量に食べ、ゆっくり消化して次の食事まで過ごす身体になっているのです。


    赤ちゃんは昆虫を食べる

    コモドドラゴンは成長によって食べるものが大きく変わります。孵化したばかりの幼体が、いきなりシカやイノシシを襲うわけではありません。小さなコモドドラゴンは木の上で過ごす時間が長く、昆虫、小型のトカゲ、ヘビ、小鳥など、自分で捕まえられる小さな動物を食べながら成長します。地上には大型の成体がいるため、木の上で暮らすことは身を守る意味もあり、同時に幼体の食料となる小動物を確保する場所にもなっています。

    成長して体が大きくなるにつれて生活の中心を地上に移し、ネズミなどの小型哺乳類からヤギ、イノシシ、シカへと獲物も大型化していきます。成体のコモドドラゴンが幼体を食べることもあるので、共食いも食性のひとつです。同じ種類の動物でありながら、幼体は木の上で昆虫を食べ、成体になると草原でシカを襲うほど食生活が変わる動物は珍しく、コモドドラゴンの生存戦略を見るうえでも興味深い部分です。身体が大きくなるにつれて食物連鎖のなかでの位置も変わり、最終的にはその島の頂点捕食者になります。


    動物園では何を食べる?

    野生のコモドドラゴンが食べるものと、動物園で与えられる餌は少し違います。日本でコモドオオトカゲを飼育している東山動植物園では、基本的に週1回、日曜日の午後に餌を与えており、馬肉、鶏肉、ネズミ、魚などが使われています。毎日餌を与えるのではなく、野生での代謝や食事間隔に近づけながら飼育しているのが特徴です。餌の種類を固定せず、状況に応じて内容を変えることも、動物園で健康状態を維持するための飼育方法のひとつでしょう。

    インドネシアのスラバヤ動物園では、ヤギ肉、牛肉、鶏の頭、白いマウスなどを与える飼育例が確認されています。成体では1回に3kgほどの肉を食べることがあり、年齢によって食事の間隔も変えています。大型個体では月2回程度、成体や若い個体では週1回、小さな個体にはさらに短い間隔で与える方法が採られてきました。幼体には柔らかい肉や小型のネズミを与え、生きたネズミを使って狩猟本能を保つ工夫もされています。野生のようにシカや水牛そのものを常に用意するわけではありませんが、肉の種類や与え方を変えることで、コモドドラゴン本来の食行動を失わせないようにしているのです。


    食べ方にも理由がある

    コモドドラゴンは、単に「大きな動物を食べる巨大トカゲ」ではありません。シカやイノシシを狩り、死骸があれば腐肉を利用し、幼体のころは昆虫や小型爬虫類を食べ、成長とともに獲物を大型化させていきます。一度に自分の体重の最大約80%もの量を食べられることも、餌がいつ見つかるか分からない島の環境に適応した結果だと考えられます。恒温動物と違って毎日大量のエネルギーを使わないため、一度食べたものを時間をかけて消化し、次の機会まで待つという生活が成り立っています。

    そして、コモドドラゴンを支えているのはシカやイノシシなどの獲物を含めた島全体の生態系です。コモドドラゴンだけを保護しても、その餌となる動物が減れば個体群を維持できません。現在の保全でも、ティモールジカをはじめとする獲物の存在は重要な要素になっています。コモド島やリンチャ島でシカの姿を見かけたとき、それは単なる野生動物のひとつではなく、世界最大のトカゲを支えている存在でもあるのです。コモドドラゴンが何を食べるのかを知ると、1頭の巨大な爬虫類だけではなく、コモド諸島の自然全体がひとつの生態系として見えてくると思います。



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