コモドドラゴンに咬まれた直後になにが起きるか
コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)は大型の肉食動物で、鋭い歯と強い顎を持っています。咬まれると、単なる擦り傷では済まないことが多く、深く肉をえぐられるような裂傷になるケースがあります。
特に危険なのは大量出血です。近年の研究では、コモドドラゴンには毒腺があり、血液を固まりにくくする作用があるとされています。そのため、傷口から出血が止まりにくくなることがあります。
さらに、口内には多くの細菌が存在しているため、感染症のリスクも高くなります。見た目より深部まで損傷している場合もあり、筋肉や神経まで傷つくことがあります。
現場ではまず止血が最優先になります。レンジャーやガイドが圧迫止血を行い、可能な範囲で傷口を洗浄します。その後、すぐに島から搬送する流れになります。

島からラブアンバジョへ搬送
コモド島やリンチャ島には対応の取れる病院はありません。
そのため、事故が起きた場合は、まず船でラブアンバジョへ戻ることになります。通常はスピードボートが使われますが、島の位置や海況によっては搬送に時間がかかることもあります。
特に乾季の観光シーズンは船の数も多く、比較的動きやすい一方、波が高い時期や悪天候では搬送自体が難しくなることがあります。
ラブアンバジョ到着後は、そのままシロアム病院(Siloam Hospitals Labuan Bajo)へ搬送されるケースが多いと言います。現在のラブアンバジョでは、この病院がもっとも設備の整った総合病院として知られています。
以前のラブアンバジョは、小規模な地方港町という印象が強い場所でした。しかし近年は観光地化が進み、医療体制もかなり改善されており。このシロアム病院は外国人観光客が多く利用する町で唯一の病院です。

シロアム病院で行われる治療
病院に到着すると、まず傷口の状態確認と止血処置が行われます。
コモドドラゴンの咬傷では、傷の表面だけではなく内部の損傷確認が重要になります。肉が裂けている場合や壊死の兆候がある場合は、外科的な洗浄や処置が必要になることがあります。
その後、抗生物質の投与が始まります。感染症対策は非常に重要で、場合によっては点滴による長期間投与になることもあります。
特にコモドドラゴンは鋭い歯で肉を裂くため、傷が深く複雑になりやすく、表面だけ洗っても内部に細菌や汚れが残る危険があります。そのため実際には、大量洗浄や抗生物質点滴、感染観察の状態が何日にもわたって行われることがあるのだそうです。
傷をすぐ閉じず、あえて開放状態で経過を見ることもあります。これは内部感染を閉じ込めないためです。また、破傷風ワクチンの処置が行われるケースもあるといいます。

シロアム病院にはICUや手術設備もあり、外国人観光客の受け入れ実績も多いことで知られています。さらに、高気圧酸素治療装置も導入されており、感染症対策や組織回復に使われることがあります。
軽傷なら数日で退院する例もありますが、通常2~3週間の入院が必要になるそうです。さらに、深い損傷や感染症が起きた場合は、数週間単位の治療になることがあります。
コモドドラゴンに咬まれると、命に別状はなくても、大ごとになるということがわかりますね。

重症時は国外搬送もある
ラブアンバジョの医療環境は以前より大きく改善していますが、それでも高度医療の中心はバリ島やジャカルタです。
重症の場合は、シロアム病院で応急処置と容体安定化を行った後、デンパサールやジャカルタへ搬送されることがあります。さらに重篤なケースでは、シンガポールなどへの医療搬送が検討される場合もあります。
コモドドラゴンの事故はめったに起きるわけではありません。ただし、実際にレンジャーや観光客が負傷した事例は過去に複数あります。
現地で観光をする場合には「野生動物に近づきすぎない」「写真撮影で距離を詰めない」「レンジャーの指示を守る」ということが非常に重要です。特に乾季はコモドドラゴンの活動が活発になることもあり、餌場周辺や水場では注意が必要になります。勝手な行動は慎み、身の安全に注意しながら観察したいものです。


