スラバヤからコモドドラゴンが来日
報道されているとおり、静岡県河津町の体感型動物園iZooへ、インドネシア・スラバヤ動物園からコモドドラゴンが向かう予定になっています。
今回の話で注目できるのは、日本でコモドドラゴンが見られるようになるという話題性だけではありません。スラバヤ動物園の繁殖実績を背景に、若い世代のコモドドラゴンが繁殖を目的として日本に渡る点に大きな意味があります。コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)はインドネシアを代表する希少な爬虫類であり、世界最大のトカゲとして知られていますが、今回の貸与は単なる展示目的ではなく、保全、研究、教育を含む国際的な協力事業として進められているのです。
スラバヤ市公式情報によると、スラバヤ動物園とiZooは2026年4月29日に「United for Wildlife」というMoUを締結しました。内容は動物の交換ではなく、繁殖を目的とした5年間のブリーディングローンです。日本へ行く予定のコモドドラゴンは2頭で、年齢は8〜12歳とされています。
現在わかっている情報は以下の通りです。
日本へ貸し出されるコモドドラゴン:2頭
年齢:8〜12歳
貸与期間:5年間
貸与先:静岡県河津町のiZoo
(出典:スラバヤ市)
コモドドラゴンは日本へ行っても所有権がインドネシア側に残るため、インドネシアの保全事業の一環として、河津のiZooで飼育と繁殖に取り組む位置づけです。スラバヤ動物園には多くのコモドドラゴンがいますが、今回の貸与はその繁殖実績があってこそ成り立つというわけです。

スラバヤ市は、つがいが8〜12歳だと公表
iZooへ行く予定の2頭は、8〜12歳とされています。コモドドラゴンは寿命が長い爬虫類で、飼育環境下でも長く生きる個体がいます。そのため、8〜12歳という年齢は、成長段階としては子どもではなく、繁殖を見据えた若い成体と見るのが自然です。
日本で大人気のコモドドラゴンに、名古屋市の東山動植物園にいるコモドドラゴン「タロウ」がいます。タロウは2011年6月2日生まれで、2026年6月に15歳になりました。これと比べると、河津のiZooへ向かう予定の2頭はタロウより3〜7歳若い世代にあたります。
この年齢差は、繁殖貸し出しという目的を見るうえで重要です。コモドドラゴンは5〜7歳ごろから性成熟するとされており、8〜12歳は繁殖年齢に入ってからまだ日が浅い世代です。若い個体であれば、新しい飼育環境への適応期間を取りながら、長期的な繁殖計画を組みやすくなります。
iZoo側は10年かけて受け入れ施設を準備し、温度管理などインドネシアの生息環境に近づけた専用施設を用意していると説明されています。河津のiZooにとっても、インドネシア側にとっても、今回の8〜12歳という年齢は、繁殖目的の渡日に合った選定といえるそうです。

若い繁殖ペア
ロイターなどの報道では、日本へ送るコモドドラゴンはオスとメスの2頭とされています。つまり、河津のiZooには繁殖を目的とした若いつがいが来日する予定です。コモドドラゴンは繁殖期になると、オスがメスをめぐって争い、相性を見ながらペアを形成します。
さらに、コモドドラゴンは一夫一妻制に近いペアボンドを作ることが多いとされ、爬虫類としては珍しい繁殖行動を見せることでも知られています。そのため、この2頭がスラバヤ動物園で以前から同じ繁殖ペアだった可能性もあり、来日早々仲睦まじい姿が見られるのかもしれませんね。
ただ、スラバヤ動物園でこの2頭が前から夫婦のような関係だったか、すでに繁殖実績を持つペアだったかまでは現地情報では確認できません。現時点で確認できるのは、スラバヤ動物園の繁殖実績を背景に、8〜12歳のコモドドラゴン2頭が、河津のiZooへ5年間の繁殖ローンとして貸し出す予定になっているという点のみです。個体名、個体ごとの年齢、日本での公開時期についても、公式に確認できる情報は限られています。それでも、年齢、目的、貸与期間を見る限り、今回の2頭は展示だけでなく、将来の繁殖を見据えた若いペアとして日本、インドネシア双方が期待していることがうかがい知れます。

スラバヤ動物園の実績
スラバヤ動物園は、インドネシア国内でもコモドドラゴンの繁殖に成功している代表的な動物園のひとつです。スラバヤ市公式は、今回のiZooとの協力について、スラバヤ動物園がコモドドラゴンの繁殖に成功してきたことが背景にあると説明しています。コモドドラゴンはインドネシア固有の大型爬虫類で、野生ではコモド島、リンチャ島、フローレス島周辺などコモド諸島の限られた地域に分布しています。希少種である一方、インドネシア国内の一部動物園では飼育下での繁殖も進めており、その中でスラバヤ動物園の役割は小さくありません。

今回のMoUは「United for Wildlife」という名称で結ばれており、コモドドラゴンを海外に送るだけの取り組みではありません。スラバヤ動物園とiZooが飼育、繁殖、保全、教育の分野で協力し、コモドドラゴンという希少な生き物への理解を広げることが目的です。日本へ行く2頭は、インドネシア側の資産として管理を受けながら、河津のiZooで新しい飼育環境に入ります。繁殖ローンの期間は5年間とされており、インドネシア側も継続的に関わる国際協力として扱われます。

コモドドラゴンが隣県に3頭そろう
日本では、コモドドラゴンを見る機会は限られてきました。東山動植物園のタロウが大きな注目を集めたのは、日本国内でコモドドラゴンを見られる場所が限られていたためです。タロウはシンガポール動物園生まれのオスで、2024年に名古屋へ来園しました。体長約270cmの迫力ある個体として知られていますが、2026年時点では15歳です。一方、河津のiZooへ向かう予定の2頭は8〜12歳で、タロウより若い世代です。日本国内で、異なる年齢層のコモドドラゴンに注目が集まることは、コモドオオトカゲの成長、体格、行動、繁殖に対する関心を広げるきっかけになります。
また、タロウは愛知県名古屋市、iZooが静岡県河津町ですので、隣県に稀少なコモドドラゴンが3頭揃うことになり、非常に楽しみですね。ドラゴンにとっても温暖な地域での飼育はすごしやすいでしょうし、元気に暮らしてくれるとうれしいです。
そして、いつの日か、河津に行くコモドドラゴンのつがいに赤ちゃんが誕生し、さらに次の世代のドラゴンにつながっていってくれることを期待してみたいと思います。


