コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)についてネットで調べると、おそろしいような情報がたくさん出てきます。
子ヤギを丸呑みにしたり、AIでつくったと思われるライオンと対峙してまったくひるまないような画像まで出てきます。
それでは、事実ベースでは実際のところどうなのかを、噂レベルではなくレンジャーやコモド村の住民に直接聞いた話をもとに少しお伝えしたいと思います。

コモドドラゴンは人間を食べられると思っている
いきなりコワいことを言いますが、基本的にコモドドラゴンは襲う、襲わないは別として、人間を食べられると思っています。この根拠となるのは、リンチャ島やコモド島の村人たちが時々コモドドラゴンに出くわして、スキを見せると咬まれているという事実からわかります。
コモドドラゴンは、コモド島などで見学している観光客を襲うことはほとんどありません。これは、まずレンジャーが必ず付いていることと、人間の方が数が多いので、とても襲ってやろうとは思わないのでしょう。それに、特にリンチャ島がそうですが、見学コースとなっているあたりは、エサとなる野生動物などが多く生息しているので、わざわざ人間を襲ってまで食糧にする必要がないというのもあるでしょう。
ですが、これが丘陵地帯など人里離れた場所では少し違ってきます。
たとえば、私が直接聞いた話では、あるレンジャーがベンチで昼寝をしていたらお尻のあたりを咬まれたということがあったり、リンチャ島の住民が草むらを歩いていたら、真向かいからコモドドラゴンがこちらに向かって歩いていて、まずいと思って下がったら焦って転んでしまい、コモドドラゴンがそれを見て、足に咬みついてきたということがありました。
この人は、すぐにラブアンバジョに船で向かい、地域唯一の救急病院である中規模の病院にそのまま入院、退院するまで3週間の加療を要したのだそうです。

それで問題は、この時コモドドラゴンはなぜ咬みついてきたのかという点なわけですが、この人ははっきりと「自分をあわよくば食べようと思った」と言うのです。ですが、そのコモドドラゴンはまだ若い個体だっということで、とても人間を食べられるほど成長しているわけではなかったのだそうです。
これは例えてみれば、猫が池の大きな鯉をチャンスがあれば捕まえようとしますね。でも、実際手でひっかき傷をつけるぐらいがせいぜいのところで、大きさとしてはとても食べられません。猫は狩猟の本能でもって、だめもとで捕まえようと試します。コモドドラゴンもこれと同じような行動を見せたのではないかと思います。

このぐらいの大きさであれば襲ってこない(でしょう)
事実として確認されている食べられたケースは過去50年で2件
ネット情報はさまざまなものがありますが、事実として人間がコモドドラゴンに食べられたと確認されているケースは、ここ50年あまりで2件あります。
1974年にスイスから観光で訪れていた高齢男性がグループからはぐれ、その後時計や帽子、血の付いた靴などのみが発見されました。遺体が見つかりませんでしたが、コモドドラゴンに食べられてしまったと推測されています。
もう1件、2007年にはコモド村の8歳の少年が茂みで用を足している間にコモドドラゴンに襲われ、死亡しましたが、身体の一部を捕食された遺体が発見されています。
これら以外にも死亡事故が3件発生していますので、襲われて亡くなったケース自体は過去50年あまりの間に計5件あったことになります。
ちなみ、死亡には至らないケガをしたケースは何件あったかといいますと、同期間にわかっているだけで30件以上の事例が確認されています。

突然向かってくるので真正面は危ない
上記の死亡事故はいずれもコモド島、リンチャ島での話ですが、村人やレンジャーの話をまとめると、コモドドラゴンは真正面に対峙すると危ないと異口同音に話しています。
コモドドラゴンは普段はもさっとしていますので、とても襲ってはこないと思いがちですが、突然向きを変えて突進してきます。これが真正面だとさらに危ないのだそうで、いきなり向かってきます。
観光客が襲われるケースは現在ほとんどありませんが、それでもたまに聞くのは観光客に突進しようとしたというレンジャーがいます。状況がわかりませんが、やはりたまには向かってくることがあるようです。
私は何度もコモドドラゴンを見に行って長時間観察していますが、そのようなそぶりを見たことはありません。ただ、油断はしてはいけないということだけは事実です。

私から逃げようとしてます。コモドドラゴンも人間がこわい
比較的若い個体が血の気が多い!?
それでは、どのような個体が危ないのでしょうか?
よく言われるのは、若い個体が危ないということです。樹から下りて生活しだしたばかりの3~4歳あたりの個体はまだびくびくして生活していますので(彼らも年輩のコモドドラゴンから食べられる可能性があるため)、とても人間を襲おうとする気配はありませんし、逆に逃げていきますが、これらの期間を過ぎると食欲も旺盛になり、すきあらば食べようとするのかもしれません。
ただ、コモド島やリンチャ島に観光で訪れて、レンジャーがいるにも関わらず大きな事故につながるとはとても思えませんが、逆に言うとレンジャーがいない場面ではきわめて危険な動物であるというのは確かなので、必ずレンジャーのうしろ側で見学することと、勝手な行動は慎むべきだと思います。
観光客の中には、団体で見学していて、コモドドラゴンがもっさりしているのでまさか襲ってくるとは思ってもみず、すぐ近くをのんびり歩いている姿を見かけますが、とても危ないと思います。
こちらの記事で触れたように、何かの拍子に引っかかれたり、咬まれたりした日には、命に関わらないとしても救急搬送です。おそらく日本人観光客が襲われたとなれば、日本でニュースになるでしょう。
そうはならないように、こちらの記事を読まれた方は、くれぐれも気をつけながら観光してくださいね。


