愛知県の東山動植物園にコモドドラゴンの「タロウ」がやってきたことで、日本国内でもこの世界最大のトカゲへの注目がかつてないほど高まっています。恐竜のような力強い姿を一目見ようと、インドネシアのコモド諸島を訪れる日本人観光客も増えています。
しかし、私たちが観光で目にする姿の裏側では、彼らを取り巻く環境は決して楽観できるものではありません。専門的なデータに基づき、現在の生息状況と彼らが直面している現実を紐解いていきましょう。

独自の進化を遂げた「生きた化石」の住処
コモドドラゴンは、世界中でインドネシアの限られた島々にしか住んでいない固有種です。彼らが生息しているのは、主に「コモド国立公園」に含まれる以下の島々です。
- コモド島
- リンチャ島
- パダール島
- ギリモタン島
- ヌサコデ島
さらに、国立公園の外側にあるフローレス島西部や北部の沿岸部にも生息が確認されています。これらの島々は乾燥したサバンナや険しい地形で構成されており、コモドドラゴンはその頂点捕食者として君臨してきました。
2025年最新データ:野生下の生息数
現地インドネシアの国立公園当局や専門機関による調査の結果、現在、野生で確認されているコモドドラゴンの総数は約3,300頭から3,500頭前後と推計されています。
島ごとの内訳を見ると、その分布の偏りがわかります。
- コモド島:約1,700頭(最も安定した個体群)
- リンチャ島:約1,300頭(面積あたりの密度が非常に高い)
- パダール島:31頭(一度は絶滅したと思われましたが、2024年に生息を確認)
- その他の島々:合計で100頭から200頭程度
この数字だけを見ると、意外と多いと感じるかもしれません。しかし、生物学的な視点や将来の予測を含めると、彼らの状況は極めて深刻です。
絶滅危惧ランクの引き上げと直面するリスク
実は2021年、国際自然保護連合(IUCN)はコモドドラゴンの評価を「危急(VU)」から「絶滅危惧(EN)」へと一段階引き上げました。これは、将来的に彼らが絶滅する恐れが非常に高いことを示しています。
そこには、以下のような負の側面やリスクが複雑に絡み合っています。
- 生息地の水没 温暖化による海面上昇により、海岸線に近い低地に住む彼らの生息域は、今後45年間で30パーセント以上が失われると予測されています。
- 餌となる動物の減少 人間によるシカやイノシシの密猟は、ドラゴンたちの死活問題です。食べ物がなくなれば、彼らは繁殖できなくなり、やがて餓死してしまいます。
- 観光と環境の摩擦 観光客が増えることは経済を潤しますが、一方でゴミの問題や、ドラゴンの自然な行動を妨げるリスクも指摘されています。
私たちが意識すべきこと
コモド諸島は、赤ちゃん連れでも訪れることができるほど観光地として開かれています。しかし、そこは動物園ではなく、厳しい自然の掟が支配する場所です。
コモドドラゴンは非常に強力な毒を持っており、ひとたび噛まれれば人間であっても命を落とす危険があります。観光客が守るべきルールや現地のレンジャーの指示は、ドラゴンのためだけでなく、自分たちの身を守るためにも極めて重要です。
このように、現在の野生のコモドドラゴンは約3,300頭から3,500頭ほど生息していますが、その未来は私たちの行動や地球環境の変化に大きく委ねられています。
